ゲハジは別に犬死でいいじゃない。

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コーエン兄弟のノーカントリーを見た。

最高!そう、psycho!
…すまない。
100点満点なら星5つの出来映え。
僕の中のベストムービーはこれで決まりだ。大して見てないですけど。
多作とは言えないが、常に前作の上を行くモノを作れるアーティストってそうはいない。
コーエン兄弟作品と言う事で、かなり期待を持ってみたのだが、その期待は裏切られませんでした。

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sigur

舞台は1980年台のアメリカ・テキサス?(メキシコ国境近く)
映画は冒頭、トミーリージョーンズ扮する老保安官の、頻発する動機の分らない殺人に対する呟きが流れる中、殺人鬼(あえてこう書く)アントン・シガーによる保安官、民間人殺害シーンが描かれていく。。時刻は何故か15時ちょうど。ディテールの細かい描写に息を呑む。シガーは息をするように人を殺していくのだが、保安官を手錠で絞め殺す際、抵抗の後として、無数の靴跡が描かれ、シガー自身の手首もその膂力で逆に傷を負う。

ルウェリン・モスはシカ狩に出かけた先で、銃撃戦の後とみられる、車と数人の遺体を見つける。そこには大量の現金と麻薬があり、一人の重傷をおっている生存者もいたが、逡巡せず、ルウェリンは生存者を置き去りにし、金をとって家へ帰る。だが、夜中になり生存者の存在を忘れられず、引き返す事に。そして麻薬密売組織と鉢合わせ追われる身となる。そして組織は追跡と暗殺をアントンシガーに依頼する。その追走劇の後には大量の死体が。またそれを追う老保安官。

この三人のストーリーが交互にあらわれ、交差していく。

この映画の通奏低音として、ヴェトナム戦争後のアメリカがある。そのため、ルウェリンも一般人でありながら、サヴァイバル技術に長け、殺し屋アントンシガーと対等に渡り歩くのだ。

アントンシガーは所謂サイコパス(正確な表現ではない)だが、その表現において他の追随を赦さない出色の出来であると思う。やばい。かっこよすぎる。おかっぱ頭のサイコキラー。どうやら女性経験は無いようだ。もうそこで激しく感情移入してしまう。正直、デニーロのタクシードライバーの上をいってる。と僕は思う。


この映画には暗喩と思われる映像が幾つか映し出される。何度も出てくる醜いと現わされるであろう種類の犬もそれだ。この犬は南米でピューマなどの狩猟に用いられる獰猛な犬種ドゴ・アルヘンティーノのようである。

シガーの、もしも実際に起こったら、狂気の冷酷殺人と呼ばれるはずの所業も、獰猛な犬同様、動物の本能に基づく行動と見るならば、理にかなったものだと私は思う。

獰猛な犬は、人間が作り出したと考える事もできるが、これもヴェトナム戦争によってそうした人間を作った事を示しているのかもしれない。

シガーは出会った人間全てを殺すわけではない。自分の設定した目標を阻害するものを排除するだけだ。

これは反社会的で愚かしい危険な思惟なのかもしれないが、もし人間が全くの偶然による進化の所産でDNAの自己複製の目的で利用されているだけなら、他の動物と変わらないなら、やはりシガーの行動はむしろ正しいものと捉えるべきだと考える。

憎しみなどという不安定な要素に動かされず、目の前の標的を殺すだけ。訓練された犬と同じである。
人間が偶然の所産なら、全てのヒューマニズムは幻想である。1人では遺伝子を残す事が難しいから、家族や社会を形成し、それを維持するために情愛などで補強する。しかし自分の身の危険も承知し、自分の目的に純粋にただ生きるのが人間の本来の姿であれば、シガーの生き方は賞賛されて然るべきものだ。

最近読んだ本、坂本龍一と天童荒太の対談集、”アフリカと少年”の中で著者の二人は何故人を殺してはいけないかという問いに対する答えとして、自分が殺されるのはイヤだから、人にはしないという答えで意気投合している。私はこの答えでは不十分のような気がしてならない。シガーのような人間にとってその答えは無意味だ。彼は自分が死ぬ事を恐れていないからだ。死への恐怖をもたない存在がある時、人を殺す事を否定する理由としての、自分が死ぬのを裂けたいからという言葉はにべも無く、無効化される。

そう考える時、現代の理由なき殺人というのは人間が神を否定し、自らが神となった時に起るのではないかと想像した。逆にそれまでの大量殺人は神の名の元に行われてきた。つまり神の許しがなければ人は大量殺人を起こすことが出来ないのでは無いだろうか。

世界には生が溢れてるそれは同時に死が溢れていると言う事だ。微生物から動植物に至るまでいたる所に死があるのだ。だから、偶然によるかのように死をもたらすシガーはある意味で、自然そのものであり、美しくすら映るのだ。

だから、シガーを見て僕は胸のすくような思いがした。

こんな事を考えるゲハジは創造論に未だ冒されている旧時代の遺物に違いない。

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ちょっとイッてる感じでごめんなさ~い。

こう書くとかなり怖い映画のように見えるがご安心を?
まぁ確かにR15ものなのですが、さすがはコーエンbros、お馬鹿キャラが何名か存在し、シガーの所作にもユーモアが見え隠れするので、絶妙に恐怖と滑稽さがバランスよく配合され、たんたんと見ることが出来るとおもいます。

って、みなさん既に観られてるか。

あんまり好きになりすぎてシガーをプロフ画像にしてしまった。
次オフ会行く時は全身デニムと、ウェスタンブーツで決まりだな。
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コメント

ほんでもっておかっぱ頭で来てねww

とら #f3.AbFOU | URL | 2008/11/10 07:43 * edit *

スゴック見たくなりました!

ナイスレビューでーす!

「汝の欲する処を人に施せ」の限界なんでしょうかね~
だってそういう嗜好の方が欲するところを人に施しちゃうと…ねぇ。
個人的にはやはり、「汝の欲せざる処、人に施す勿れ」の方が性にあうです。おせっかいはいやザンス(笑

国家、人種、宗教……家族。枠組みは色々あっても、結局自分以外は他人なんでしょうかね~そう思えば、リスペクトすることはあっても、図々しくよそ様に干渉しようとは思わなくなるんでないかな~とか思いました。
なんかその辺の悩みって、古典とかドストエフスキーとかを読むとまるっと網羅されていたりして、昔から同じ様なことで人間悩んでて、そんで何千年悩んでも大した解決策なんか無くて、悩むだけ無駄なんだなーとか思わされて絶望しつつもスッキリしました。
テリー伊藤さんに罵倒されて前向きに生きていきたい、そんな今日この頃であります。

dagon #WGv/JGO2 | URL | 2008/11/10 11:02 * edit *

明言!?

とらさん
ありがとうございます!

その頃までに髪がなんとか残っていればチャレンジ致します!

もし駄目ならピンカラ兄弟づらを調達します!

ゲハジ #qbIq4rIg | URL | 2008/11/10 11:16 * edit *

ドストエフスキーだって電波で…

dagonさん
ありがとうございます!
観たくなるというお言葉嬉しいです!

もうですね。嫌ハリウッドの方にも是非おすすめです!アメリカ南部の乾いた風景が無駄な音楽もなく描かれていてイカすんです!
マスターキートンとmonster的な面白さです!
絶対見て下さい!って過干渉ですね。レンタル屋さんで他になければどうぞ!スイマセン

なるほど、すでに古典で網羅されてるのですね。お前ら!文学読んでるのか!という叱咤の声が聞こえました。すいません読みます(笑)

人類の知の集積や進歩にはやはりどこか限界があるのでしょうかね。

ゲハジ #qbIq4rIg | URL | 2008/11/10 11:54 * edit *

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